生涯正社員で働き続けることができる人に比べ、正社員や非正規社員などさまざまな雇用形態で生涯働かなければいけない人も増加しています。
そのような中、持ち家もなく貯蓄もなかなか増やせないという人も多いものです。
ここでは老後のリスクに備えた保険の見直し術について紹介しています。
下流老人にならないために
老後に備えるといっても30代や40代のころは漠然としていて、保険で老後リスクに備えるというところまでは至らないケースがほとんどです。
介護といっても身近に考えられる人も少ないものです。
貯蓄だけはまかないきれない、公的介護保険だけではまかないきれない部分を保険でカバーすることが大事になります。
介護が必要なければ無駄になると考える人もいますが、持ち家のない人や公的年金の受取額が少ない人ほど保険を見直す必要があるのです。
介護リスクは考えていなかった
60代で年金生活を送っているAさん夫婦は貯蓄は1200万円、年金収入は年間で夫婦合わせて250万円ほどありました。
貯蓄でつつましく生活を送ろうと考えており、最低限の日常生活費として月22万円を支出したとしても90代までは生きられる計算でした。
そのため、保険の見直しの際も、医療保険を手厚くした程度でした。
しかし、夫が80代のとき、要介護2となり、月額7万円の支出が発生し、民間の介護保険には加入していなかったため、十分な備えができていると考えていたAさん夫婦も貯金が底をつく状態となりました。
医療保険のムダを省くことで
40代のBさん夫婦は自分の親の介護をきっかけに、老後に備えた保険の見直しを行うことにしました。
経済的負担を子どもたちに負わせたくない、また、仮に認知症になり介護が必要になっても大丈夫なように民間の介護保険に加入しました。
このとき、医療保険を見直し、がん保険の中でも診断給付金の比重の高いものに加入して、公的保障と貯蓄で医療費はまかなえるような仕組みに見直したのです。
その結果、保険料も安くなり、浮いたお金で介護保険量と貯蓄に回せる資金を捻出することに成功しました。
掛け捨てや終身払いで割安に
貯金が底をつくどころか赤字になってしまっては、老後破綻を招きかねません。
事例のAさんが仮に要介護2以上になれば月額7万円は受け取れる介護保険に加入していたら、80代から要介護となり90代まで生きたとしても、給付金と年金だけでは赤字になってしまいますが、貯蓄からまかなえるため破綻を防ぐことができました。
掛け捨てや終身払いタイプであれば月額4000円から5000円ほどで加入できる民間の介護保険もあります。
在宅介護で目安として月平均7万円の負担がかかりますが、カバーすることが可能です。
支払い基準を比較する
民間の介護保険は一般的な死亡保険や入院保険の特約としてついているケースもありますが、老後の介護費用に備えるには単体の保険の中から選んでいくのがポイントです。
公的保険連動型の場合、要介護度のレベルを比較します。
要介護2は軽度といわれますが、認知症でも2の判定がなされることもあり、2以上という基準はある意味適性ともいえます。
さらに給付制限として30日間から180日間の範囲で要介護状態が継続した場合など条件がありますが、介護費用は長期を前提としているため、ここはあまり気にすることはありません。
人生のコストに入れられるか
在宅介護では公的介護保険サービスの利用にあたる自己負担分をあわせて、おおよそ月額7万円の支出が考えられます。
老後の備えとして保険の世界では、まだまだ介護は後回しにされがちですが、見直しの際に同じ掛け捨ての自動車保険や火災保険のように人生のコストとして受け入れることができるかが焦点となります。
予測が難しいリスクですが、極端に保険に資金をつぎ込みすぎることなく、貯蓄と介護保険のバランスの折り合いを付けながら老後に備えることが大事です。